仮定法といえば「仮定法過去」や「仮定法過去完了」がよく知られていますが、「仮定法未来」についてはあまり詳しく学ぶ機会がないかもしれません。実は、未来の仮定を表す際にも仮定法が使われることがあります。本記事では仮定法未来の定義や使い方、例文を詳しく解説します。
1. 仮定法未来とは？
仮定法未来（Future Subjunctive）とは、未来に起こる可能性が非常に低い出来事や、万が一の状況を仮定する際に使われる表現です。特に、英語では "should" や "were to" を用いることで、未来の不確実な出来事を表現できます。
例えば、以下のような状況を考えてみましょう。
If he should win the lottery, he would buy a mansion.
（万が一彼が宝くじに当たったら、豪邸を買うだろう。）
このように、「可能性は低いがもしそうなったら…」という仮定を表す際に仮定法未来が使われます。
2. 仮定法未来の構造
仮定法未来には主に2つのパターンがあり、それぞれ異なるニュアンスを持ちます。どちらも未来の出来事を仮定する際に使用されますが、「可能性が極めて低い状況」を表現するのに適しています。
また、仮定法未来はビジネス英語やフォーマルな場面で頻繁に使われ、日常会話でも「あり得ないけれど、もしそうなったら…」という話をするときに活用されます。ここでは、それぞれのパターンと具体的な例文を詳しく見ていきましょう。
"If + 主語 + should + 動詞の原形"
この形は、「万が一～なら」という意味を持ち、現実的にはあまり起こりそうにない出来事を想定する際に使われます。「可能性は低いが、一応その場合を考えておく」といったニュアンスで、特にビジネスシーンやフォーマルな文章で使われることが多いです。
例文：
• If you should need any assistance, please let me know.
（万が一、お手伝いが必要なら教えてください。）
→ 相手が助けを必要とする可能性は低いものの、万が一の場合に備えて伝える表現。
• If he should fail the exam, he will take it again.
（万が一彼が試験に落ちたら、再び受けるでしょう。）
→ 彼が試験に合格する可能性が高いが、万が一のためにどうするか述べている。
• If the weather should get worse, we will postpone the event.
（万が一天候が悪化した場合、イベントを延期します。）
→ 天気が悪くなることはあまり予想されていないが、万が一の可能性を考慮した表現。
• If the company should decide to merge, employees will be informed immediately.
（万が一会社が合併を決定した場合、従業員にはすぐに通知されます。）
→ 合併の可能性は低いが、その場合の対応について述べている。
"If + 主語 + were to + 動詞の原形"
この形は、「仮に～するようなことがあれば」という意味を持ち、極めて非現実的な未来の仮定を表します。"were to" を使うことで、より強調された仮定を示し、「現実にはほぼ起こり得ないが、もし仮にそうなったら…」という場面で使われます。
例文：
• If I were to become a billionaire, I would donate a lot of money.
（もし私が億万長者になったら、多額の寄付をするでしょう。）
→ 実際には億万長者になる可能性はほぼないが、もしそうなったらという仮定を示している。
• If she were to quit her job, she would move abroad.
（もし彼女が仕事を辞めるなら、海外に引っ越すでしょう。）
→ 現時点で仕事を辞める予定はないが、仮に辞めた場合を考えている。
• If aliens were to visit Earth, how would we react?
（もし宇宙人が地球を訪れたら、私たちはどのように反応するでしょうか？）
→ 宇宙人が訪れる可能性は極めて低いが、その場合の仮説を立てている。
• If the sun were to stop shining, life on Earth would be impossible.
（もし太陽が輝くのをやめたら、地球上の生命は存続できないでしょう。）
→ 現実にはほぼ起こり得ないが、極端な仮定を表している。
このように、"should" は「可能性は低いが一応あり得る状況」に使われ、"were to" は「現実にはほぼ不可能な仮定」に使われます。それぞれのニュアンスを理解して、適切に使い分けることが重要です。
3. 仮定法未来と他の仮定法との違い
仮定法未来は「仮定法過去」や「仮定法過去完了」とは異なる特徴を持っています。
仮定法過去との違い
仮定法過去は、現在の事実とは異なる仮定を表しますが、仮定法未来は可能性の低い未来の出来事を仮定します。
仮定法過去の例：
• If I were you, I would take the job.
（もし私があなたなら、その仕事を引き受けるのに。）
仮定法過去完了との違い
仮定法過去完了は、過去に起こらなかった出来事に対する仮定を表しますが、仮定法未来は未来に関する仮定を表します。
仮定法過去完了の例：
• If she had studied harder, she would have passed the test.
（もし彼女がもっと勉強していたら、試験に合格していただろう。）
4. 仮定法未来の応用例
仮定法未来は日常会話でも使われることがあります。以下のようなシチュエーションで応用できます。
ビジネスシーン
• If our company should receive a large order, we will expand production.
（万が一、大量注文を受けた場合は、生産を拡大します。）
• If the market were to change drastically, we would reconsider our strategy.
（市場が大きく変化するようなことがあれば、戦略を再考します。）
カジュアルな会話
• If you should see Tom, tell him I said hello.
（万が一トムに会ったら、よろしく伝えて。）
• If I were to ask her out, do you think she’d say yes?
（もし彼女をデートに誘ったら、OKしてくれると思う？）
5. まとめ
仮定法未来は、「万が一の出来事」や「可能性の低い未来の仮定」を表す際に使われる表現です。特に、"should" や "were to" を用いることで、よりフォーマルで強調された仮定を示すことができます。
仮定法未来のポイント：
✔ "If + 主語 + should + 動詞の原形"（万が一～なら）
✔ "If + 主語 + were to + 動詞の原形"（仮に～するようなことがあれば）
✔ 未来の不確実な状況を表すのに最適
英語の仮定法をマスターすることで、より自然な英会話ができるようになります。ぜひ、実際の会話やビジネスシーンで仮定法未来を活用してみてください！
